目次
1. 男性の「若さ嗜好」は世界共通
アメリカ・テキサス大学オースティン校の進化心理学者 David M. Buss 教授が1989年に行った国際比較調査では、37カ国・1万人以上の男女に「理想のパートナー像」を質問しました。
その結果、国や文化を問わず、男性は平均的に女性の年齢が若いほど魅力を感じる傾向があることがわかりました。
この傾向は先進国・途上国を問わず一貫しており、「若さを魅力と感じる心理」が人類に普遍的なものである可能性を示しています。
2. 若さは「生殖能力のサイン」
進化心理学では、この現象を「生殖適応度(Reproductive fitness)」の観点から説明します。
人類史の大半において、子孫を残すことは生き残る上での最重要ミッションでした。
女性の妊娠可能性は年齢とともに低下するため、若さ=妊娠・出産の可能性が高いというサインとして、男性が進化的に惹かれるようになったと考えられます。
3. 「ロリコン」とは別物
ここで注意すべきは、進化心理学が示すのは**「成熟したが若い年齢層(18〜25歳前後)」への嗜好**であること。
これは法的にも社会的にも許容される成人への魅力です。
未成熟な子どもへの性的嗜好、いわゆる「ロリコン」とは明確に異なり、進化心理学がそれを肯定することはありません。
4. 年齢差の心理的背景
アリゾナ州立大学のKenrickら(1992年)の研究によれば、男性は自分が加齢しても、比較的若い女性をパートナーに選びやすい傾向があります。
これは加齢によって自分の生殖能力が大きく低下しないため、若い女性と組むことでより多くの子孫を残せる可能性が高いからと解釈されています。
5. 現代社会での意味
現代では医学や避妊技術の発達により、「若さ=生殖能力」という図式は昔ほど重要ではなくなっています。
しかし、私たちの脳や本能は旧石器時代に形成された設計図を今も持ち続けているため、「若さ」に惹かれる傾向が残っているのです。
まとめ
•男性が若い女性を好む傾向は世界共通(Buss, 1989)
•若さは進化的に「妊娠可能性の高さ」を示すサイン
•「若さ嗜好」と「ロリコン」は科学的にも法的にも別物
•この嗜好は現代でも完全には消えていない
📚 参考文献
•Buss, D. M. (1989). Sex differences in human mate preferences: Evolutionary hypotheses tested in 37 cultures. Behavioral and Brain Sciences, 12(1), 1–49.
•Kenrick, D. T., & Keefe, R. C. (1992). Age preferences in mates reflect sex differences in human reproductive strategies. Behavioral and Brain Sciences, 15(1), 75–133.
• Symons, D. (1979). The Evolution of Human Sexuality. New York: Oxford University Press.